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上智大学で「多言語の自然習得ワークショップ」が開・・・

(2019年 12月 9日)

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12月2日(月)、上智大学で「多言語の自然習得ワークショップ」が行われました。上智大学の学生と教職員が協働し多様性を受け入れる共生社会を目指して様々なイベントを開催する「ソフィア・ダイバーシティ・ウィーク2019」の一環として実施されたものです。上智大学とヒッポファミリークラブが連携した初めての試みで、大学生を中心としたヒッポファミリークラブの会員が司会や進行役を担い、上智大学からの参加者とともに、体を動かしながらいろいろな国と地域のことばに親しむ活動を実践しました。

このワークショップは、著書「節英のすすめ」で、脱英語依存こそ国際化・グローバル化である、と説く、上智大学の木村護郎クリストフ教授を中心に、同大のダイバーシティ推進室の主催により実現したものです。当日は木村教授が担当するドイツ語学科の学生をはじめ、海外からの留学生を含む約30名とヒッポファミリークラブの会員約50名が集まりました。

会の冒頭で木村教授は、訪日外国人や在留外国人が増えている現状から、多言語化に向き合うことが重要になっていると話しました。さらにそれを妨げる要素として、日本人の頭の中に「英語さえきちんとできないのに他の言語なんて無理」「言語を学ぶためには文法をきちんと積み重ねなければいけない」というマインドセットができてしまっていると指摘。続いて最新の研究についても触れ、最近は言語を個別に教えるのではなく複数の言語をまとめて学ぶことが学会の中でも議論されるようになり、言語教育のやり方自体の転換を図る時が来ている、と説明しました。あわせて、今回のワークショップではヒッポファミリークラブの多言語活動を通じてそのことを実際に体験してほしい、と話しました。また教授自身も子どもの気持ちに戻って楽しむと伝え、場を和ませていました。

木村教授からマイクを受け取った後、ワークショップの楽しみ方を紹介する寸劇や子どもの多言語パフォーマンスを皮切りに実際のプログラムが始まりました。音楽にあわせたダンスやゲーム、ヒッポファミリークラブの音声マテリアルを使い聞こえてきた音をそのまま真似て話す活動、いろいろな言語を使った自己紹介、といった多言語活動がテンポ良く展開。司会者は説明に日本語を使わず、会場に集まった会員が案内役となり場を盛り立て、楽しみながら多言語に親しむさまざまなプログラムを実践しました。木村教授も輪に加わり、自ら活動を体験していました。

「つながることば 多言語グラデーション」と題したプログラムでは、「家族」「世界」「安全」「パイナップル」「チーズ」などのことばを、外国人スタッフや長期の海外留学経験がある大学生が、いろいろな言語で順番に発音するという試みが行われました。音の共通性から世界のことばのつながりを感じてもらうおうとするもので、「日本語→韓国語→中国語→タイ語→マレーシア語→英語→ドイツ語→ロシア語→フランス語→スペイン語→イタリア語→ノルウェー語」の順に次々と繰り出される音の変化に、参加者は高い関心を寄せていました。

続いて行われた、シンガポール出身のJoy Cheeさんのプレゼンテーションも、参加者から大きな反響を得ていました。Joyさんは、母国で感じていた「標準語」→「民族の標準語」→「方言(元の母語)」という、ことばのヒエラルキーについての話や、3年前に日本に来て最初にホームステイした時にマレーシア語で「こんにちは」と話しかけられても理解できず大きなショックを受けたというエピソードなどを紹介。これまでの日本での経験を通じ、自分が話すことばだけでなく、まわりの環境にあることばをすべて大切にしなければならないと思うようになり、これからも人と人の間をつなぐことばを大切にしていきたいと伝えました。

最後に木村教授は、「ことばの壁は高くて堅そうに見えるが自分からぶつかれば意外ともろく、崩れる」「音を何度も聞いて真似をすることで、最初はあいまいだった音がだんだんと明らかになり、そしていつの間にか言語が身についてくる」と話し、「今日の経験を今後の人生やことばの学習に活かしてほしい」、と締めくくりました。

〈参加者アンケートより〉
●ことばを話すのは難しいけれど、それを話す人とコミュニケートするのはそうでもないと思いました。(23歳・男性)
●最初は知らない言語が聞こえる度に「何語かな~」と考えてしまう自分がいたけれど、だんだん「とりあえず真似してみよう」「声を出してみよう」「なんとなく言いたいことがわかる」という状態になっていくのが面白かった。(25歳)
●最初は知らない言語がほとんどで、ついていくのが難しいと感じたが、相手のことを知りたいと思ったり、興味をもつことで、分からなくても楽しむことができました。(20歳・女性)
●いろいろな言語にもっと触れてみたいと思った。(21歳・女性)
●言語を習得する時には勉強することが必要な気がしていましたが、そうではないと気づかされました。(21歳・女性)
●耳や体で覚える言語の重要性、また楽しんでことばを話すことの重要性にも改めて気づけた。(21歳・女性)
●ことばの壁は高いがもろい、ということを知り、英語に限らず積極的にことばと出会う後押しになりました。(25歳・女性)
●コミュニケーションはことばではなく気持ちから、ということがよくわかりました。色んな言語を「知っている」ということは世界とつながる上で大切だと思いました。(22歳・女性)
●どんな言語でも少しでも話せると楽しいのだと思いました。(21歳・女性)
●今日、私の日本人についてのイメージがすごく変わりました。日本人が明るくてたくさんの興味がある人です。(35歳・男性/外国人留学生)
 
〈開催概要〉
■日 時: 12月2日(月)17:20~19:00
■場 所: 上智大学 四谷キャンパス7号館 14階 特別会議室(千代田区紀尾井町7-1)
■主 催: 学校法人上智学院 ダイバーシティ推進室
■協 力: 一般財団法人 言語交流研究所・ヒッポファミリークラブ
 
〈コーディネーター〉
上智大学外国語学部ドイツ語学科 木村 護郎クリストフ教授(言語社会学)
1974年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。
慶応義塾大学専任講師などを経て、2012年より上智大学外国語学部教授。
著書に『節英のすすめ―脱英語依存こそ国際化・グローバル化対応のカギ!』(萬書房)、
共編著書に『多言語主義社会に向けて』(くろしお出版)、『媒介言語論を学ぶ人のために』
(世界思想社)など。
 


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