ぼくが100%になった時|体験談|ヒッポファミリークラブ
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体験談・メンバーの声

ぼくが100%になった時日常活動

yumoto hiroki(4)

湯本大幹 / 東京都・大学2年生

僕は小学六年生になる頃にヒッポに参加し始めて、中学一年生の時にロシア、高校一年生でメキシコにJFで行き、高校二年生でイヤロンでまたメキシコに行った。イヤロンを決めてから出発するまでの一年間で準備したことと言えばヒッポをするだけ。スペイン語の参考書は開いたことはないし、辞書を使ったのはアプリケーション作成の時だけ。あとはただ所属のファミリーに欠かさず参加して、他のファミリーにもなるべく行くようにして、あとはメタ活をして歌ってるだけ。本当にそれしかやらないでメキシコに飛び込んでみて、まず感じたことは「スペイン語がわかる!」ということ。確かにわからない単語もたくさんあったとは思うけど、自分の中に溜まっていたスペイン語が溢れ出したのを感じた。でもきっとそれだけで理解していたわけではなくて、相手の身振り手振りや、目や口とか表情を見て、相手が何を考えているのか、何を自分に伝えたいのかってこととか、たくさんの想像をしてたからこそ理解できたのだと思う。だからメキシコでの一年間で言葉に関して困ったり悩んだりしたことはほとんどなかった。帰国後、僕は「自分のスペイン語は100%だ」って胸を張って体験談を話していたと思う。

今、僕は大学生になって、授業の一環でスペイン語を学校で勉強して一年が経った。そして二月の始めから、学校の友達三人とスペインに約二週間旅行することになった。三人は僕と一緒にスペイン語を勉強していて、この一年間で結構なスピードでスペイン語の文法を一通り習って、たくさんテストもしていたし、三人とも他の人に比べて勉強を頑張っていたから、あまりスペインで言葉のことで助けたりしなくても平気だと思ってた。だけどスペインに行ってみると、あんなに勉強した三人が全く話せないのにビックリした。一年間必死に勉強した彼らよりも、ただヒッポで楽しく遊んで歌って一年間イヤロンの準備をしていた頃の自分のがスペイン語を話せてたと思う。なんで勉強をたくさんしたにも関わらず彼らがなかなか話せないのは、スペイン語を話す時に足し算をするからだと思った。
例えばヒッポの自己紹介でも良く言うし、ジャネットの手紙にも出てくる「アミメグスタ」は「A mí me gusta」っていう四つの単語にわかれる。この時点で知らなかった!っていうヒッポのメンバーもいると思うけど、このアミメグスタってのは実は簡単な構文ではなくて、学校ではこの説明をするのにかなり時間をかける。きっとヒッポの人たちはアミメグスタのどれが動詞で、どれが関節目的語で、どれが前置詞形の人称代名詞なんて知らないだろうし、この動詞が実は五十個近くある動詞活用の現在形の三人称単数の活用だなんて考えたこともないと思う。ヒッポのスペイン語ではアミメグスタはアミメグスタだけど、学校のスペイン語ではアミメグスタは「前置詞のA+前置詞形の人称代名詞のMí+関節目的語のMe+Gustar動詞の現在形三人称単数活用のGusta」っていう複雑な1を足し算して100を作ろうとする。しかも学校だと100だけが正解で99も98も不正解だから、学校の子たちは複雑な足し算をするのに時間がかかるし、100にしなきゃいけないっていう緊張もあって話せなかったんだと思う。

それに比べてヒッポでは赤ちゃんもおじいちゃんもみんなアミメグスタなんて簡単に言える。それはきっとヒッポの人たちは足し算を知らないからなんだなって思った。だれも1を知らないけど、みんな100の要素は知ってて、100しかわからないから、100しか出てこないんだと思う。これって赤ちゃんが言葉を話すようになっていく過程と同じ。ヒッポって本当に自然習得の場なんだって感じた。きっと自分がメキシコで感じていた、100%は話せる!っていう感覚は100しか知らないでメキシコに飛び込んだからこそのものだったんだって実感した。つまり僕のスペイン語はメキシコで一年間暮らしたから100%になった訳ではなく、メキシコに着いた時から既に100%であったわけ。でも準備期間で100%になったわけでもない。だって「今日はファミリーに行ったからスペイン語が1%増えた!」とか「イチローのデリが歌えたから3%ゲット」みたいな足し算の準備をして100%になったわけでもない。敢えて言えば、イヤロンの準備期間は自分の100%のスペイン語をほどいてたんだと思う。僕のスペイン語が100%になった始まりは、小学六年生になる時、始めてヒッポに行って、そこで「ヒッポでは挨拶をする時、こんにちはじゃなくて、オラって言うんだよ」って言われた時から、僕のスペイン語はずっと100%だったんだ。