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活動内容

岩田 誠


岩田 誠
神経内科学/東京女子医科大学名誉教授
(一財)言語交流研究所 理事

⚫︎赤ちゃんとヒッポから見つけた真実

ヒッポの活動のうち、私が最も多くのことを学ばせて頂いたのは、“ベベフィー”(赤ちゃんがどのようにことばを獲得していくのかを仲間と一緒に見つけていく活動)でした。

それまで赤ちゃんの発達などというものには全く興味を抱いていなかったのですが、ベベフィーの活動に刺激され、二所帯で一緒に生活するようになった娘一家の孫たちを観察するようになりました。

最初に驚いたのは“這い這い”における足の拇趾(親指)の動きでした。這い始める時、しばしば前進する側の足の拇趾が足背側に反りかえるのです。成人の二足歩行では、前に出した足の拇趾は足背側に反りかえるのが普通なのですが、これと全く同じ趾の動きに感動した私がそのことをベベフィーの方に話したところ、「当たり前ですよ、這い這いしてる時赤ちゃんは歩いているつもりなんですから」と、完璧にいなされ、ギャフン!

それから一生懸命考えてみますと、這い這いするのは人間だけ。私たちにもっとも近いとされるゴリラもチンパンジーも、二足歩行は可能ですが普段の移動では使いません。しかも彼らは這い這いはしません。ベベフィーのお母さんの「這い這いしてる時赤ちゃんは歩いているつもり」というのが真実だと気付いた瞬間でした。

⚫︎赤ちゃんが教えてくれた”当たり前”

孫たちの観察で私が得たもう一つの重要な発見は、お絵かき活動の発達でした。うちの孫たちも類人猿も行う“なぐり書き”から始まって、そのうち“閉じた円”を描くようになりました。ここまでは類人猿と同じです。

ところが、ことばを話すようになった途端、描いたものに対し、これは“風船”だとか、自分の顔だとか、何を描いたのかを語るようになりました。ことばがあってこそ具象絵画が存在するという、考えてみれば至極当たり前のことを孫たちが教えてくれたのです。

これらのことをまとめ、私は「ホモ ピクトル ムジカーリス(中山書店, 2017)」という本を出しました。
興味ある方はお読み頂けると幸いです。